遺言関連の公正証書

遺言や資産管理などに関する公正証書として、次の4つが代表的なものです。それぞれの公正証書によって、「前もって決めておくこと」と「持参すべきもの」は大きく異なります。通常は、嘱託人(遺言をする人など)や相談を受けた行政書士などが前もって文案をファクスにて公証役場に送信し、電話でのやり取りでもって、作成の準備をしておくことが多いようです。

 遺言公正証書 下書き見本

■前もって決めておくこと

  1. 遺言の内容、誰に何を相続させる(遺贈する)か
  2. 遺言執行者の指定
  3. 祭祀主催者の指定
  4. 付言として付け加えたいことがあればその内容、又は自筆の書面
  5. 2名の証人。遺言者の推定相続人、受遺者、これらの者の配偶者又は直系血族(子や親)は証人となれない。

■持参すべきもの

  1. 遺言の内容をまとめた下書き(メモ)
  2. 遺言者の印鑑証明書と実印
  3. 遺言者と相続人の戸籍謄本、受遺者の住民票(本籍記載有)
  4. 遺言の内容に不動産がある場合は、登記事項証明書と固定資産評価証明書
  5. 遺言の内容に預貯金や株式等がある場合は、通帳現物や口座番号、会社名、金額が分かる書類
  6. 証人の運転免許証等(パスポート、写真入の住基カード)と認印
  7. 公証人手数料
  8. その他公証人が指定するもの

■作成のおける注意事項

  1. 代理人による遺言作成はできない。
  2. 事前に公証役場へ電話で予約をし、打合せ、必要書類、費用の確認をしておく。
  3. 遺言公正証書作成に不安がある場合は、行政書士などの専門家に事前に相談する。
  4. 遺言の見本は、遺言書の書き方と文例遺言書の効力を参照。

 任意後見契約公正証書 下書き見本

■前もって決めておくこと

  1. 任意後見人となる受任者
  2. 後見事務の内容、誰に何を委任するのか
  3. 任意後見監督人の選任
  4. 任意後見人、任意後見監督人の報酬

■持参すべきもの

  1. 委任者本人の印鑑証明書と実印、戸籍謄本、住民票
  2. 受任者(任意後見人)の印鑑証明書と実印、住民票
  3. 預貯金を特定する場合は通帳の現物
  4. 作成手数料(11,000円)と登記嘱託手数料(1,400円)、印紙代(4,000円)、用紙代その他
  5. その他公証人が指定するもの

■作成における注意事項

  1. 任意後見人は信頼できる人を選任する。
  2. 代理人による任意後見契約作成はできない。
  3. 事前に公証役場へ電話で予約をし、打合せ、必要書類、費用の確認をしておく。
  4. 任意後見契約作成に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談する。

 死因贈与契約公正証書 下書き見本

■前もって決めておくこと

  1. 贈与の内容、誰に何を贈与するのか
  2. 贈与契約解除の条件がある場合は、その内容
  3. 不動産を贈与する場合、所有権移転請求権仮登記の諾否
  4. 執行者の指定

■持参すべきもの

  1. 贈与者本人の印鑑証明書と実印、戸籍謄本、住民票
  2. 受贈者(もらう予定の人)の印鑑証明書と実印、住民票
  3. 不動産を贈与する場合は、登記事項証明書と固定資産評価証明書
  4. 預貯金を特定する場合は通帳の現物
  5. 公証人手数料
  6. その他公証人が指定するもの

■作成における注意事項

  1. 後から取り消すことは難しいので、死因贈与契約が必要かどうか慎重に吟味する。
  2. 代理人による死因贈与契約作成はできない。
  3. 事前に公証役場へ電話で予約をし、打合せ、必要書類、費用の確認をしておく。
  4. 死因贈与契約作成に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談する。

 遺産分割協議公正証書

■前もって決めておくこと

  1. 遺産分割の内容、誰が何を相続するのか(遺産分割原案)
  2. 代理人を頼む場合は誰に頼むのか
  3. 代償分割(不動産などを多めに相続する人が他の相続人に現金を払うこと)の場合の金額、支払方法、執行認諾の取り決め

■持参すべきもの

  1. 被相続人及び全相続人の戸籍謄本
  2. 全相続人の印鑑証明書
  3. 代理人へ委任した旨の実印が押印された委任状
  4. 代理人の印鑑証明書と実印(又は運転免許証等と認印)
  5. 相続財産に不動産が含まれる場合は、登記事項証明書と固定資産評価証明書
  6. 預貯金を特定する場合は通帳の現物
  7. 公証人手数料
  8. その他公証人が指定するもの

■作成のおける注意事項

  1. 代理人は複数の相続人を代理することはできない。
  2. 事前に公証役場へ電話で予約をし、打合せ、必要書類、費用の確認をしておく。
  3. 遺産分割の原案作成に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談する。